Accept『Metal Heart』
アクセプト『メタル・ハート』(1985)
ドイツが生んだ正統派ヘヴィーメタル・バンドである。
スコーピオンズ、UFO、ハロウィン、ガンマ・レイなどとともに、ジャーマン・メタルというジャンルを形作っている。音的にはパワー・メタル、メロディック・スピード・メタルというものが多い。
ボーカルのウド・ダークシュナイダーの喉を切り裂くしわがれ声が特徴的である。
クラシック音楽の影響が強くタイトルトラックの「メタル・ハート」は、チャイコフスキーの「スラヴ行進曲」とベートーベンの「エリーゼのために」からの引用がフレーズで聴くことが出来る。
このアルバム「メタル・ハート」はメタラーのバイブルの象徴となっている。
Bruce Springsteen『Born in the U.S.A.』
ブルース・スプリングスティーン『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』(1984)
ボスことブルースの最も売れたアルバムである。全米1位獲得。大ヒットシングルを7曲も収録。
タイトルトラックの「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」は、ベトナム帰還兵の悲哀を歌ったにもかかわらず、新アメリカ国歌として認知されている。当時の共和党レーガン大統領候補の応援演説にこの曲が使われ、ブルースが猛反発した。
80年代に最も売れたアルバムのひとつであるが、プリンスの『パープル・レイン』と発売日が重なり2位の状態が長く続いた。
当時の熱狂はすさまじいものがあり、日本のアーチストでは、浜田省吾、尾崎豊、佐野元春などによい影響を与えた。
ボブ・ディランの次に歌手がノーベル文学賞を取るとしたらブルースが一番手である。
Slayer『Reign in Blood』
スレイヤー『レイン・イン・ブラッド』(1986)
スラッシュ・メタル四天王の一つ。その中でも最も早いスレイヤーのサードアルバムにして最高傑作である。
全10曲ながらもアルバム・トータル時間わずか29分という短さ。しかし最速の曲が、BPM240に達している。ものすごい速さである。X JAPANの「サイレント・ジェラシー」のBPMが183といえば、その速さがいかに速いかわかっていただけるだろうか。(X最速の「Stab Me in the Back」でBPM200)
歌詞がヤバイ。ジャケット・デザインがヤバイ。メンバーがヤバイ。すべてにヤバイ。ヤバさMAXのアルバムである。それがスレイヤーなのである。
BPM (Beats Per Minute) = 楽曲の速さを表す指標。テンポ。1分間に感じるビート数。BPM200だと一分間に200回叩いていることになる。
David Bowie『Scary Monsters』
デヴィッド・ボウイ『スケアリー・モンスターズ』(1980)
キング・クリムゾンのロバート・フリップのギターが前面にフューチャーされた「イッツ・ノー・ゲーム(パート1)」では、日本人女性ミチ・ヒロタのボイスが強烈に耳に直接突き刺さる。それは警告に聞こえる。
1980年イギリス、時代はニューウェーヴである。ボウイはデュラン・デュランやジャパン、カルチャー・クラブ、スパンダー・バレエなど多くのバンドに影響を与えている。
このアルバムは全英1位を取り、前作の「ベルリン三部作」を上まわるセールスである。意外と過小評価されているアルバムだが素晴らしい内容だ。この後に大ヒットした「レッツ・ダンス」が来るのである。「アッシュ・トゥ・アッシュズ」「ファッション」など名曲も多い。
嵐の前の静寂を切り裂く怪物、それが「スケアリー・モンスターズ」でなのである。
Bob Dylan『Desire』
ボブ・ディラン『欲望』(1976)
今やノーベル文学賞受賞者ボブ・ディラン大先生である。いやその前からすごく偉い人ではあったんですが。
このアルバムの一曲目の「ハリケーン」は、黒人ボクサー、ルービン・ハリケーン・カーターの免罪事件を扱っているプロテスト・ソングであるが、ディランの曲の中で音楽的に最も優れた作品に仕上がっている。饒舌に語るように歌うディランは最高である。
スカーレット・リヴェラのバイオリンとエミルー・ハリスのコーラスが全面的にフューチャーされているこのアルバムはディランの最高傑作だといっても過言ではない。
他の曲もいい曲ばかりそろっている。「コーヒーもう一杯」「モザンビーク」「サラ」と思いつくだけでもすぐに出てくる。
ジャッケットの横顔写真も素晴らしいし、あまりに完璧なアルバムで文句の付けようがないのである。
Black Sabbath『Black Sabbath Vol.4』
13日の金曜日にデビューしたブラック・サバスはヘヴィーメタルの元祖といわれている。その4枚目のアルバムである。
1曲目の「Wheels of Confusion/The Straigtener」のメドレーが最高である。トニー・アイオミの左利きのSGから放たれるリフが4枚目にしてみごとに完成形をもたらしている。ギターソロも多重録音によりあまりに美しい素晴らしさである。
ブラック・サバスこの一枚となると『パラノイド』か『マスター・オブ・リアリティ』になるのかもしれないが『4』の素晴らしさはわかる人にはわかってもらえると思う。アルバム・ジャケットのオジー・オズボーンもまだ若く美しい。
ブラック・サバス、それはすべてのハードロック/ヘヴィーメタルのファンにとっての永遠のバイブルなのである。
Van Halen『1984』
1984年に出たから「1984」それ以上でもそれ以下でもない。何も考えていない。ただギターを早く弾くだけ。それがヴァン・ヘイレンのいい所なのである。
エドワード・ヴァン・ヘイレンはジミヘン以降で最も革命的なギタリストである。そのライトハンド奏法は、右手で弦を押さえるというかタッピングするのである。
今ではハードロック/ヘヴィーメタル系のギタリストはみんなライトハンド奏法を使っているが、当時は衝撃的であった。また、弦をスパゲティのようにゆでてから張るという話もある。ヴァン・ヘイレンのあの独特の音を出すには様々な工夫がされているのである。
このアルバムは「ジャンプ」や「パナマ」のヒット曲の入ったベストセラー作品でありキーボードを多様しているのも特徴である。もちろん弾いているのはエドワード自身である。最高のアメリカン・ハードロックでなのである。